ゴシック美術って、なんだろう? (図鑑:はじめてであう世界の美術)

ゴシック美術って、なんだろう? (図鑑:はじめてであう世界の美術)の詳細

著者はアメリカ・ミネソタ州在住のライター。わずか24頁の、児童向け絵本のような作りの書です。1100年代なかごろに興った建築・彫刻・絵画の美術様式であるゴシックの作品を様々とりあげて、ごくごく基本的な知識とイメージを伝える趣向です。ですので、ゴシック美術が何たるものであるかは、比較的ぼんやりとしか記述されていません。ローマ帝国を侵食した「ゴート人風の」を指すその名は、「野蛮な」感じを与える様式であることを意味していました。しかしその一方で、滑らかな曲線を使って人物や動物を生きているように見せる、自由な発想の彫刻を生み出す力を持っていました。作品によって感情を表現することがゴシック時代の芸術家たち目指したものでした。スペイン贔屓の私には、ルイ・ボラサーというイベリア半島北部出身のゴシック画家がいたことを知ることができたのが収穫です。-----------------------------------ゴシック時代の建築家を描いた以下の小説をお勧めしておきます。◆ケン・フォレット『大聖堂』（新潮文庫）：舞台は12世紀のイングランド。「常に野蛮が支配する」世界で、大聖堂建立を目指す建築職人、より善き神の道を歩まんと教会改革に邁進する修道院長、豊かな生活が一変した伯爵家の娘、そして彼らの仇敵である残虐きわまりない豪族の息子。こうした登場人物たちが切り結ぶ、およそ半世紀にわたる壮大な波乱のドラマを描いた小説です。（現在はソフトバンク文庫版で読むことができます。）.